2009年12月31日木曜日

2009年ベストJ-POP

年末ということで今年よく聴いたJ-POPを御紹介!今年も色々聴けました!!


月島きら starring 久住小春 (モーニング娘。) - ハッテン×JOY
今年遂にその輝かしい音楽活動に幕を下ろしたきらり嬢のラストシングル「はぴ☆はぴ サンデー!」のカップリング。この曲、ボクは最初変拍子と勘違いしてたんですが、そ程ボーカルが前のめりにのっかてるんですよ。いやーきらり嬢のボーカル力(ぢから)はやっぱり凄い、凄かった。身近の組み合わせの妙を歌った歌詞はさながらきらり版「みんなのうた」。DJなんかしてる人には刺さるんです。


松浦亜弥 - レスキュー!レスキュー!
近年の松浦亜弥作品は駄作だらけでしたが、これはなかなかの出来。柔らかい四つ打ちに松浦亜弥の上品なボーカルがよく合う!やっぱこの人バツグンに歌上手いや。ただ、柔らかい曲調に加えてサビが「Oh!レスキューレスキュー どうすれば Everyday Everytime 輝けるの?」って・・・。落ち目のアイドルが自分自身のキャリアに捧げるレクイエムに聴こえて、どうにもやりきれないっす。


雪野のえる starring 北原沙弥香 - 負けん気!強気!元気!前向き!
「きらレボプロジェクト」にMilkywayの“かわいくない方”として約一年働いたご褒美で、唯一のソロ曲。そこら辺に転がってたような雑なトラックと歌詞に二秒で考えたような振り付けも加わって環境としては最悪にも拘らず、ボーカルの「精一杯さ」だけで全部ひっくり返しちゃった名曲。サビは韻も固いのでヒップホップリスナーにも十分アピール出来る筈。ちなみに今年ボクに本当のアイドルの楽しみ方を教えてくれたのは他でもないこの雪野のえる嬢!来年もお世話になります!!


真野恵里菜 - はじめての
世間ではポスト松浦ともてはやされているらしいマノエリさんですが、個人的にはあまり楽曲に魅力を感じることはできませんでした。が、これだけは別格。この処女感!もしくは童貞の思い描く女性観感!!現実の何処にも存在しないこーゆー「感じ」はこーゆーJ-POPを聴くしか味わえないんですよね。ライブでの適当な振り付けも見物。流石名曲「愛は勝つ」のKANさんプロデュースですね。


ravex - 悪い子みつけた feat. 安藤裕子
安藤裕子つーのは普通に魅力的な声してますます。こーゆーBPM110くらいのカッケエJ-POPって以外に少ないのよね。今年はこれとPerfumeの「マカロニ」をよく混ぜて喜んでました。余談ですが、煽りに煽られたravexのアルバムはこれともう一曲を除いて全然良くなかったデスネ。特にオズマの曲は大沢伸一、Taku、FPMのデブの三人のプロップスを失わせるには十分な程の出来だったよ。あー悪い意味でエイベックスクオリティ。


°C-ute - One's LIFE
これは最初聴いたとき本当にタマげた。メンバーの中の二人がまさかの字余りラップをキックしてるんだけど、それはラップというよりむしろラップ調のポエトリーディング!リリックも「恋愛も勉学も苦手なんだろう けど 生きるのって誰だって 初めてなんだろう」や「良んだろうか 損だろうか 普通の人生って 何が基準なんだろうか」等、ニヤニヤが止まりません。自分だけの名曲と思い込んで密かにウヒャウヒャしてたので、大々的に宇多丸に紹介された時はなんか悔しかったなあ。いやはや、アイドルラップにはまだまだ可能性が有る!


mihimaru GT - Switch
月島きらりに対する喪失感とPerfumeに対する失望感の最中に出会ったmihimaruGT。
この人たち、チープさが目立つ「元気女性ボーカルJ-POP」の中でもなかなかちゃんとしたトラックを作っているのではないでしょうか。ただ今年は、これ以外あまりパっとしなかったなあ。J-POPやる人達は頭の悪さを前面に出した曲以外作っちゃダメだよ!あと言い忘れてました、毎度のことですがラップもカッコイイです!


中川翔子 - シャーベット色の時間
これは確か2009年1月1日初めて聴いた曲。中川翔子ってその機械的とも言える「ちゃんとした」ボーカル故に聴かず嫌いだったのですが、去年「綺麗ア・ラ・モード」で見事にやられて以来、ちょこちょこ追いかけてます。中川翔子にはアニソンロックみたいなのより、こういう四つ打ちポップスを歌っていって欲しい。あと、タイトルも素晴らしいネ。ただ、トラックもボーカルもやっぱり「ちゃんと」し過ぎているので、「良い曲」以上ではなかったなー。


ももいろクローバー - ももいろパンチ(tofubeats remix)
で、こっちが「良い曲」以上の曲。今やポストAKB48との呼び名も高い週末ヒロイン達の1stシングルを新進気鋭のトラックメイカーtofubeatsがリミックス!ボーカルの粗さが前面に出ていて、アイドルソングの魅力が非常に分かりやすい形で表現されてます。いやーJ-POP追いかけてて良かった!ちなみに最近加入した新メンバーの一番顔が残念な娘の名前はアリヤスさん!!


ravex - Golden LUV feat. MAKI GOTO
後藤真希バッカゲン!今年、特に3月はこれしか聴いてませんでした。
こーゆーあまり洗練されていないクラブ系J-POPは結構ストライクです。
なんつーかトラックが派手!バブル!!もともとハロプロみたいな生温い温室よりもエイベックスみたいな下品で卑しいゲットーの方が彼女の体質には合ってたみたいで何より何より。もちろん、今もバリバリ売女スタイルで活動中!




今年に出たもの以外ではメジャーでるべきことを見事にやってのけた「いきものがかり - 気まぐれロマンティック」や、倒錯した性を感じさせるPVも含めて最高な「星井七瀬 - パーマパビリオン」、説明不要のスペースファンク「大橋のぞみ - ケータイが欲しい」あたりが素晴らしかったです。
来年もいい音楽がいっぱい聴けたらいいですね☆

2009年12月18日金曜日

DJ Kensei『Tight7』 Indopepsychics『Meckish』


90年半ばの東京屈指の王道HipHopDJは、突然アンダーグラウンドに身を沈めることになり、その後、エレクトロニカ~ハウスを経由し徐々に地上に昇り、結果ジャズに辿り着く。これが後追い世代のボクから見たDJ Kensei。
DJ Kenseiを支持する人たちはある一定の年齢層に偏っていて、ボクたちの世代にはあまり居ない気がする。で、なぜそんなことになるのか、というと、DJ Kenseiの豊かな音楽経験の足跡を辿るには余りにも彼の過渡期の作品資料が少ないからじゃないかな、と。つまり「点」は分かってもそれが「線」になり辛いから、後追いクンはDJ Kenseiの全体像を把握しにくいんですね。
それらの「点」のうちの一つ、アングラHipHop~エレクトロニカ期のDJ Kenseiを記す今回紹介する音源は今までドップリ浸かっていた東京HipHopコミュニティというぬるま湯から抜け出し、全く新しい場所へ踏み出した彼の実像を描き出す。そこに感傷的な過去の思い出や新天地に踏み出していく気概のようなものはまっくない。つまり、明らかに過去と断絶されたDJ Kenseiがそこに記されているのだ。これは他の「点」においても同様で、この話はこの話の元に戻る、つって。
99年のDJプレイを収めた『Tight7』で行われているインストブレイクビーツ中心の選曲は既にエレクトロニカ前夜(そういう意味ではこれが「線」か)のDJ Kenseiの輪郭を描き出していると言えるでしょう。特に中盤が後のDJ Kenseiを知ってると非常にエレクトロニカ的に聴こえて、おもしろい。全く同じ曲をKrushもよくかけてたけど、DJによってこうも聴こえ方が違うものか。
また、東京エレクトロニカブームの立役者だった中期Indopepsychics(Kensei, Nik, Doi)名義のRemix
とコンピ提供曲を集めた『Meckish』は『Tight7』と地続きである所謂地に足ついたビートを聴くことができる。ビートが完全に狂ってて、その狂い方だけで7分半聴かせてしまう「Femi Kuti - Sorry Sorry (Indopepsychics Remix)」がベスト。他にも重要作「UNKLE - The Knock (Indopepsychics Remix)」や、大塚広子さんのMixにも入ってたクラシック「J-Treds - Praise Due (Indopepsychics Remix)」等、聴き所は多い。Indopeのドラムはこの先どんどん液体化が進んで遂には完全に溶けてしまい、上モノだけがふわふわ浮することになるんだけど、それはまた後のお話。
この頃の「点」がボクの琴線に触れてしまった為に、この先DJ Kenseiがどう変化しようと、ボクの中のDJ Kensei像はこの二枚から大きく逸脱することはないでしょう、な。

2009年12月14日月曜日

Squarepusher『Ultravisitor』




一億総ポエマー時代、若しくは、一億総評論家時代、みなさん逞しく生きているでしょうか。
友人の人生の方向を決定付けたとされる名盤、Squarepusher『Ultravisitor』を今更聴いてみたけど・・・こりゃ凄い。
最近は「やっぱリズムっしょ」なんて知った口を叩いてのですが、これを聴くと「やっぱメロディっしょ」なんて知った口を叩きたくなる。というよりメロディがリズムにもたかかってる?リズムががっちりしてるからメロディも活きて聴こえる?なんかそんな感じです。それぞれがそれぞれに依ってるっていうか、まさに仏教でいう縁起的というか。
まずは一曲目「Ultravisitor」のエモいメロディー。これで喰い付かなかったら嘘でしょう。「引き」の点において抜群の一曲だと思います。あと、メロディ面で言えば、やはり三曲目「Iambic 9 Poetry」はズバ抜けて良い、なんか悔しいんですが。あと、Hip Hop的アプローチの「50 Cycles」は相当クールな音。
上のエレクトロニックな三曲の間に一曲ずつアコースティックな短い曲を交えた計五曲の前半部分が原雅明氏も言っているようにこのアルバムの印象を決定付けている様です。それはつまり、振れ幅が広い!なんて単純なものではなくて、構成の妙というか。
かつて故DJ Klockが「DJ Krushが一曲作る労力で普通のヒップホップアルバムは一枚完成しちゃう。どうせ聴くなら手の込んだものを聴きたいじゃん。」的なことを言っていましたが、まさにこのアルバムの収録曲は全て凄い労力がかってるように思えます。それは曲単体の起承転結の絶妙さもさることながら、それをすべて背負ってアルバム全体を聴かせていく進行具合というか。「一曲目と二曲目の流れ、二曲目と三曲目の流れ」じゃなくて「一曲目・二曲目と三曲目の流れ、一曲目・二曲目・三曲目と四曲目の流れ」を意識させるみたいな。う~ん、上手く言えませんが兎に角お上手なんですよ。
そして中盤からも基本的にエレクトロニック→アコースティックな構成なんですが、そこには「Ultravisitor」や「Andrei」の様なメロは存在せず、ただただカオスティックな音だけが重ねられていきます。この箇所は前半以上に曲単体の輪郭が分かりにくく、数曲まとめて一曲という感じ。その後12曲目「Circlewave」でようやく落ち着きを取り戻すと、「Iambic 9 Poetry」と双璧を為す(と思われる)「Tetra-Sync」に流れ込んでアルバムはついにクライマックスを向かえます。これは作り込まれた曲がズラリと並ぶ『Ultravisitor』の中でも特に複雑な一曲・・・いや、むしろアルバムの曲すべてがかなり作り込まれてようなので、複雑な印象を持つこの曲は逆に凄い分かりやすいのでしょうか。よく分かりませんが、そんな「Tetra-Sync」で全てをぶちまけたSquarepusherが再びメロを取り戻し、『Ultravisitor』は幕を下ろす。
凄いもん聴いちゃいました。繰り返しになりますが、とにかく構成が練られているので、自分の浅はかな解釈の余地があるこのアルバムはインストの懐の深さもしっかり示していると思います。あと、なんというかこういう展開がはっきり見えるDJミックスが作れたら理想でしょうね。
これを聴いてなかったのはもしかして世界でボクだけだったのかもしれませんが、とりあえずJazzかRockに興味がある人は皆聴いた方がいいでしょう。
読み返したら「凄い」って言葉が「凄く」雑に使われているので、これからは「ヤバい」にしときましょうかね。

Olive Oil『FROM 薬院 II EP』

前回からの続き。このEPって全然好みじゃないけど、まあたまにはこういうのも。前回取り扱った12inchの後Olive OilはラッパーFreezとのユニット、El Ninoの正規1stを出した後、このソロ名義のEPをリリース。さてこの人の注目のポイントは前回も書いたメランコリックなメロディライン。El Ninoの1stは昔の曲も入ってたから、制作時期はよく分からないんだけど、まあ、なんとかギリギリバランスを保ってて良曲が揃ってる・・・っていうかFreezのラップも相まってアルバム単位で考えると名盤と言ってもいいくらいの出来でしょう、ね。
さてEl Nino後、再びソロの道を歩み始めたOlive Oilは見事にバランスを崩してしまいます。確か昔友人達にこれを聴いてもらったところ、ボクの苦手なプレフューズの二番煎じみたいなこと言われました。でも正直プレフューズより退屈。凡百な捻りのない綺麗系ブレイクビーツなんですよね。この方向はコレの次に出る『Pianity EP』(FROM 薬院 II EP』で裏切られても、ボクはまだOlive氏を信じたかったからこっちもちゃんと買いました)でさらに突き詰められてしまいます。うーん、残念。

2009年12月13日日曜日

OLIVE OIL『ALL ROUNDER』

Olive Oilと言えばシーンに突然出てきたって感じでした。04年頃we nodに何の前触れもなく、一気にどばーっとMixcdが色々入ってきて、しかも収録曲は全部自前。Oil Worksによるその奇抜なアートワークも相まってファーストインパクトは相当なものでした。当時の自分は日本語ラップ一直線だったから、実際それらのMixを手に取ることはなかったんですが、その後に出たRamb CampのFreez(当時は元イルスラングって感じでした)をフィーチャーしたEl NinoのCD-Rには完全にやられましたね。特にあの荒々しいドラムの「Love El Nino」。このCD-Rはアナログも切られてて(確か06年の2月くらいだった筈)速攻33レコードで手に入れたのを覚えています。確か、El Ninoと同じくらいにBig JoeのRemixもやっててこっちはこっちで変則ビートが結構いい感じで好印象でした。
とにかくEl Nino&Big Joe以降、Olive Oilのトラックは凄い!ってことで06年の春休みに渋谷のタワレコでOlive Oil名義の正規1stアルバム『Full of Special Memories』をゲット。確か渋谷Camp1stアニバーサリー的なライブに行く直前でした。ここからようやくボクはOlive Oilと真っ向から向かい合うことに。1stはエレクトロニカ系ブレイクビーツにちょいちょい生音をまぶした雰囲気。で、このバランスが結構いい塩梅なんですよ。全体を通しても結構緩急ついてて、何回も聴きました。今でも十分聴けますね。さて、こっからようやく『ALL ROUNDER』のお話。これは先程の『Full of Special Memories』から数ヶ月後くらいに出たEPでA面は未発表もしくはMixCDオンリーの音源、B面はアルバムからの音源が収録されています。その中でも1stアルバム、いや、Olive Oilのキャリアの中でも一番の名曲「I Never See U Again」がハイライト。ジャズ的なドラムの上をメランコリックなピアノのループが乗ってるだけなんですが、これが素晴らしい。Olive Oilにしては珍しい有体温的サンプリングが印象的な「4 Hits For Stupid」も良い。「Big Shell」なんて聴いた後、到着地が出発地からかなり離れていることにビックリします。なんかこの一曲でOlive Oilのやりたいことは全部できてるのでは、ってくらい中盤以降の展開が目まぐるしいのです。A面の方も凄くて「I Never See U Again」を攻撃的にしたような「DO MY SELF」は勿論かなりジャズ的な曲。強いピアノが素敵です。
さて、上にも書きましたがこの作品は基本的にメランコリックな感じが根底にあって、それは勿論Olive Oilの持ち味なんですが、それって実は非常に難しいっていうか、危ういっていうか、バランス感覚が要求されるんですよね・・・続く。

2009年12月12日土曜日

11月中旬買い物メモ

中間発表準備段階での発表がとりあえず終わったので、ひっさしぶりに広島市内にレコード買いに行きました。オークションでDJ KlockHarmonyEPが落とせなかった腹いせも含めてね。で、何を買ったか書いていくんだけど、こーゆー記録としての日記ってブログと相性いいよねよね。きっと。


V.AHeart On The Right Spot

アングラHipHopコンピ。ジャケに反して収録曲の半分以上が嫌~なメロウネス具合だったのでとても新品で買う気は起きなかったけど、千円だったのでEpstein一曲の為に購入。期待してたDday Oneは、、、うーんイマイチ。

Funki PorciniHed Phone セックス

Jazzyな古臭いダウンテンポ。たまにはBPM70な感じも良し。これで欲しいかった90年代のNinjaTune作品はDJ VadimAmon Tobin関連以外は殆ど集まっちゃった。

松たか子『Remixes

名曲「明日、春が来たら」とよく分からん一曲をリミックス。てっきり空っぽハウスか馬鹿トランス調かと思っていたら、どれも以外にドープwな感じだったので。ちなみに最近は全盛期の松浦亜弥の凄さを熱弁していた甲斐があって、ボクは純粋にJ-POPが好きな人として周りの人達に扱われています。まあ、間違いではないんだけど・・・。

Machine Drumnow you know

まさに今の気分にピッタリな一枚。思ったより安く買えて満足。よくプレフューズと比較されるけど、こっちの方が上モノが引っ込んでる分、聴きやすい気が。っていうか最近結構エレクトロニカ聴いてるのに、未だにプレフューズの良さが分からん。

DJ QuietstormHome Alone

ずっと探してた一枚をようやく確保。2ndに入ってた盛り上がらない民族ハウス。所謂桑田つとむ以前。緩い原曲は勿論素晴らしいけど、この盤だけのパードン木村のリミックスがとんでもないことになってました。


あと、ももいろクローバーなるアイドルユニットのデビューシングル「ももいろパンチ」のRemixが良。熱心な信者達が買ったと思われるシングルが大量にヤフオクに出回っているので買い時はまさに今ですよ。狙ってぶち込むのはピュアなハートももいろパンチ”か・・・いい日本語!

松浦亜弥『松浦亜弥ベスト1』『想いあふれて』



思えば、本格的にJ-POPを聴くようになったのはタワレコがこのベストを大々的に売り出していた時に耳にした「ね~え?」がきっかけだったので感慨深い一枚です。で、やっぱり「ね~え?」を含む資生堂三部作はどれも「パパンケーキ」と並ぶ完璧なJ-POP。キラキラで、プリプリで、下品というか。松浦は商品として完成され過ぎていて、月島きらりと比べると下品さが足りないけど、それも一般層へのセールスを考えると妥当なのかもしれません。まさに国民的アイドル!・・・だったのかな?リアルタイムで聴いてなかったから当時の彼女のポジションはよく分かりませんが、多分人気あったんでしょうね!

「Yeah!めっちゃホリデイ」もベストで聴いて良さを再確認。はるな愛の物真似で最近また耳にする機会が増えたこの曲、実はAメロが凄いのです。オリエンタルなトラックの上でアブストラクトな歌詞を歌い、加えて“わらわ”口調・・・こりゃトリップしちゃいますよ。ちなみにこの曲のセルフカバーはDJ用(?)にイントロを延ばしてくれているのでありがたいです。
あと、“下北沢”を“シモキタ”と言いたい年頃の心境を見事に描写したデビューシングル「ドッキドキ!LOVEメール」の歌詞の異常性。ドキドキが止まらないくだり以外がリアル過ぎます。あたかも松浦亜弥本人が作詞しているのかと錯覚させるこんな異常な詩を作ったのは誰なのかとクレジットを見るとやっぱりつんく氏なんですね、流石。
つまならいバラードに陥りがちなテーマを見事に昇華させた「LOVE涙色」も何気に凄いと思います。
というか、デビューから「奇跡の香りダンス。」までのシングル曲だけ聴くと、「100回のKISS」と「草原の人」以外は全部素晴らしすぎる!凄まじい打率です。
ただ、森高千里のかバー「渡良瀬橋」、谷村新司作詞・作曲の「風信子(ヒヤシンス)」あたりから雲行きが怪しくなるんですよね。上述のシングル郡で松浦亜弥は最新のポップスを歌わせたら超一流ってことが実証されているにも関わらず、ここにきて00年代の空っぽ!具合から逸脱した時代錯誤な楽曲提供が増えてきちゃうんですよ。う〜ん。


で、その悪しきプロダクションの延長で作られた最新アルバム『想いあふれて』は一時期に比べると幾分マシなんですが、やはり、酷い。右も左も退屈バラード、退屈R&Bで埋め尽くされてとても一枚通して聴けません。その中でも爽やか四つ打ち曲「レスキュー!レスキュー!」なんかはまだ聴けるのですが、これがかつて「ね~え?」を歌っていたアイドルだと思うと、まるで彼女自身のアイドル人生のエンディング曲を聴いている様な気持ちになって、悲しい。
もしかして松浦亜弥が音楽的に幸福だった時期はタレントとしてのそれより遥かに短かったのではないか、そう感じさせるベスト&最新アルバムでした。

2009年12月11日金曜日

月島きらり『きらりと冬』



月島きらり starring 久住小春(モーニング娘。)の「パパンケーキ」。個人的にはついに理想のJ-POP誕生って感じの曲でした。これがリリースされた716日以降、歴史はパパンケーキ以前とパパンケーキ以降に分断され、以後無数のフォロワーたちがその醜い屍を我々の前に晒すことになるだろう・・・とか考えていましたが、結局時代はパパンケーキに共振せずボクはこうして元気に生きてます。
その「パパンケーキ」を含んだ月島きらりのアルバム『きらりと冬』では“久住小春<月島きらり”なプロダクションがみられる名盤となっており“きらりんプロジェクト”はようやくここで完成したと言えるでしょう。それは単なる娘。メンバーのソロにしか過ぎなかった一枚目とポップながらアニソン色が強い二枚目を経て、ようやく“実際のアイドルがアニメキャラのアイドルを演じる”というこの歪なプロジェクトの真の旨味を引き出した、つまりアイドルソングの空虚さとアニソンの(いい意味で)嫌な感じを混ぜ合わせた訳の分からんものが生まれたということです(そういう意味では2ndの「こんにちぱ」や「ラムタラ」は一足早い“完成”だと思います)。その大きな要因としてはなんといっても前述の「パパンケーキ」で頂点に達した月島きらりが類い稀な“ボーカル力(ぢから)”を獲得したことにあると思います。“萌え”や“技術”に走らずただただ「イカれた」高音キンキンなボーカルは恐らく月島きらりでしか聴けないものでしょう。個人的な話になりますが、このボーカルに対する姿勢は他のジャンルにないものを聴きたくてJ-POPを聴きだした自分の初期衝動(=需要)と恐ろしい程合致しているので、ボクの月島きらり推しにも納得していただけることでしょう。
さてこのアルバム、実際「パパンケーキ」以上のマッドネスは収録されていませんが、格段に個々の曲質は勿論、曲順にいたるまでとにかく1stや2ndとは比べ物にならない程の作り込みがみられます。J-POPのアルバムでこんなに捨て曲が無いアルバムも凄いと思います(強いて言うなら「パピーラブ」「ソラミミドレミ」か)。しかしこれだけ完成度が高い作品にも関わらず、音程が微妙にズレているきらり嬢のボーカルの隙は編集せずしっかり残している所が正しくアイドルしているところも見逃せません。これは粗がまったく無くアンドロイドのような中川翔子よりよっぽどおもしろい出来になってます。曲単位では、文句無しの王道路線「コイサイン」、ピークタイムに威力を発揮するであろう四つ打ち「ラブチク」(下品に聴こえない大ネタの使い方!)、サビでのブレが心地良いウルトラ歌謡ボッサ「マスカラフル」、きらりの固い韻が炸裂する「ソラミミドレミ」、Back To The 90's Flavorな「ガムシャララ」等・・・全曲太鼓判ですす。 
あと踏み絵的一曲「タンタンターン!」について。耳障りが柔らかいせいでリリースされた当初はボクもついにMilky Wayも日和った曲出しやがったか、なんて知った様なことをほざいていたのですが、『きらりと冬』を通して聴くとアゲる曲が多いアルバムの中おとす部分として、楽曲単位で言えば“ブレイク”的な機能を果たしていることに気づかされました。つまり「タンタンターン!」は踊れる曲、所謂使える曲にしか反応できなくなっていた我々(特にDJ)へ本質的な音楽の聴き方を今一度問いかけていたのです。ちなみにこの「タンタンターン!」、よく聴けば曲自体もかなりのもので、特にベースの入り方と後半のエレピ(?)ソロが絶品です。明け方にこんな曲がかかったら間違いなくボクは泣きます。 
兎に角このアルバム、アイドルという枠内での最良の結果が出ています。必聴! 

今ネットで色々調べてて初めて知ったけど「アナタボシ」ってあのクラシック「ラムタラ」と同じ斎藤悠弥って人が作ってるんだ。そりゃーええ曲になるわ。
 

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